結論から言うと、ぼくは理系大学院生として研究を続けながら、塾講師とマリン系バイトを掛け持ちして、月収10万円程度を安定して稼ぐことができています。「院生はバイトとの両立が難しい」という話はよく聞きますが、バイトの選び方と時間の使い方を工夫すれば、研究に支障が出ることなく両立は十分可能です。ただし、正直に言うと「楽じゃない」です。このブログではその実態を包み隠さずお伝えします。
背景・きっかけ:院生になってから「お金の不安」が出てきた
大学院に進学したとき、ぼくはひとつの不安を抱えていました。「お金、足りるのかな」という問題です。
ぼくは奨学金を借りておらず、実家暮らしとはいえ、自分の生活費や趣味のお金はすべて自分で賄う方針にしています。大学まで片道90分の通学で交通費もかさむし、友人との食事や旅行、なにより将来のための積立NISAも続けたい。お金がないとそのどれもが中途半端になる、という危機感がありました。
そこで大学院進学と同時に考えたのが「バイトの掛け持ち」でした。でも当時、まわりの院生たちから聞こえてきたのは、
「院生になったらバイトなんてほぼ無理だよ」
「研究が忙しくてシフト入れられなくなった」
「就活が始まると更にきつくなる」
という声ばかり。本当にそうなのか?ぼくは実際にやってみることにしました。
仮説:バイトの「種類」さえ間違えなければ、掛け持ちでも月10万円いける
「バイトの種類さえ間違えなければ、院生でも掛け持ちで月10万円は稼げる」——これがぼくの最初の仮説でした。
ポイントは「バイトの種類」です。研究室のスケジュールは一週間単位で読みにくい。実験が突然長引くこともあるし、教授にいきなり「来週ゼミやるから」と言われることも普通にあります。そんな環境でも対応できるバイトを選べば、両立できるはず——そう考えたのです。
逆に言えば、「毎週同じ曜日に固定シフトで入る系のバイト」は研究室との相性が悪いと判断しました。コンビニや飲食店のレギュラーシフトは、急な実験延長や学会準備のときに「休めない」プレッシャーになりやすい。
実験・検証:実際に選んだ2つのバイト
① 塾講師(週2〜3コマ)
これは研究との相性が意外といいバイトでした。コマ制なので「今週は火曜と木曜の19〜21時に入る」と決めやすく、突発的な予定が入ったときも代講をお願いしやすい。時給も1,500〜2,000円程度と高めで、移動中や待ち時間に授業準備もできます。
ぼくは高校生に物理と数学を教えているのですが、「教えることで自分の理解も深まる」という副次効果もありました。研究で使う数学的な概念を言語化する訓練になっているとすら感じます。「あ、この概念、生徒に説明できないな」と気づくことで、自分の理解の甘さを発見できるんです。これは完全に予想外の収穫でした。
② マリン系バイト(週末・繁忙期集中)
こちらはヨット部出身という経験を活かして始めたバイトです。海上でのレクリエーション系業務で、主に土日や夏季に集中して入っています。
海の仕事は天候や季節に左右されるため、年間を通じてコンスタントに稼ぐのは難しいですが、研究の繁忙期(学会前など)はそもそも仕事が少ない冬場と重なることが多く、自然とバランスが取れました。落ち着いた時期に集中して稼ぐスタイルが、ぼくには合っています。
もうひとつの利点は「完全に研究と別の世界」に触れられること。研究室の人間関係や実験のストレスが、海でリフレッシュすることで不思議とリセットされます。週5で研究室にこもっている院生にとって、これは意外と大きなメンタルケアになっています。
月収の実態(正直な数字)
月によってバラつきはあるものの、平均するとこんな内訳になっています:
- 塾講師:月6〜7万円
- マリン系バイト:月2〜3万円
- 合計:月平均10万円前後
研究が落ち着いている月は11〜12万円になることも。逆に学会前は5〜6万円に落ちることもあります。年間を通じた「平均」で月10万円という感覚です。
結果・考察:1年間やってみて気づいたこと
よかったこと①:研究のモチベーション維持につながった
これは意外な発見でした。バイトをしていると「研究室以外の世界」と常に接点があるので、研究だけに没頭して視野が狭くなることを防いでくれます。塾の生徒たちと話していると「社会に出る楽しみ」が出てくるし、マリン系バイトの同僚はほとんどが研究とは無縁の人たちで、会話が毎回新鮮です。
「院生は研究以外何もするな」という空気がある研究室もありますが、個人的には外に出る時間があることで、むしろ研究室に戻ったときの集中力が上がっていると感じます。
よかったこと②:お金の不安がなくなり、判断がクリアになった
奨学金を借りていないぼくにとって、月10万円という収入は精神的な安定に直結しました。積立NISAを月3〜5万円続けながら、旅行や趣味にも使える余裕ができた。「お金が足りない」というストレスがないだけで、研究への集中力が上がったと感じています。
お金の余裕は、選択の余裕でもあります。「就活の交通費がもったいないから説明会をスキップしよう」とか「この本、高いから買うのやめよう」みたいな判断を迫られなくなった。地味ですが、積み重なると大きな違いになります。
よかったこと③:就活のガクチカになった
研究とバイト掛け持ちの両立経験は、就活の面接でそのまま話せます。「なぜそのバイトを選んだか」「どうスケジュール管理したか」「研究とのバランスをどう保ったか」を具体的な数字と共に話せると、面接官からの反応がよかった経験があります。「月10万円稼ぎながら内定取った」という事実は、ぼく自身の自信にもなりました。
しんどかったこと①:体力的にきつい時期がある
特に学会の準備時期と塾のテスト期間(中間・期末)が重なったとき、正直かなりきつかったです。睡眠時間が5時間を切る日が続いたこともあります。そういうときは迷わずバイトのコマ数を減らすことにしていますが、それができるのも「融通が利くバイト選び」をしていたからこそ、だと思います。
しんどかったこと②:「遊べない」と感じる瞬間がある
友人に「飲みに行こう」と誘われても「今日はバイトだから」と断ることが増えます。ストレス発散の機会が減るので、意識的に「何もしない休日」を作ることが重要だと気づきました。ぼくは月に1回は一人でどこか出かける日を作るようにしています。国内でもどこかに行くだけで気分転換になります。
しんどかったこと③:研究の進みが遅くなる時期がある
「今週は実験を進めたかったけど、バイトに時間を取られた」という週は確かにあります。ただぼくの場合、バイトがない日に集中できているので、トータルで見ると研究のペースは落ちていないと判断しています。大切なのは「週単位」ではなく「月単位」でペースを管理することだと気づきました。
まとめ:院生がバイトを続けるための3つのポイント
研究とバイトの両立は「無理ではないが、工夫は必要」というのが正直な結論です。ぼくが1年間試してきてたどり着いた、現時点でのベストプラクティスをまとめます。
ポイント① バイトの「種類」で9割が決まる
シフトの自由度が高く、専門スキルを活かせるバイトを優先して選ぶ。コンビニや飲食の固定シフト系は研究室との相性が悪い。塾講師、家庭教師、TA/RA、専門スキルを活かした単発系バイトがおすすめです。
ポイント② 「月いくら稼ぐか」を決めてから逆算する
目的なく働くと無駄に時間を削ることになります。「月10万円稼ぐために、週何コマ入ればいいか」を逆算すると、スケジュール管理がシンプルになります。ぼくの場合、塾2〜3コマ+マリン系週末1日で月10万円の目安がわかっています。
ポイント③ 「研究最優先週」を事前に決めておく
学会前や重要な実験期間は、あらかじめ「この2週間はバイトを入れない」と決めておく。逆に研究が落ち着いている時期に集中して稼ぐ。この「波打ちスタイル」が、ぼくには一番合っていました。
これから院進を考えている学部生、あるいは今まさに「バイトどうしよう」と悩んでいる院生の参考になれば嬉しいです。「院生はバイトできない」という思い込みは、少なくともぼくの経験では当てはまりませんでした。
大事なのは「どんなバイトをするか」と「いつ休むかを自分で決められるか」の2点です。その軸さえ守れれば、研究もバイトも、両方ちゃんとやっていけます。

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